●建築、特に住まいには、住まい手独自の夢があり、２つとして同じ住まいはありません。私たちは、住まい手の分身として一緒に夢を見、ともに考えます。かくれた願望を掘り起こしながら、その住まい手ならではの個性的な住まいを提案します。
●建築家には期待以上の結果を出すことが求められます。住まい方、技術、温もりある空間や素材、価格、維持管理など、建築家の意思と感性が反映され、住まい手はもちろん施工者などみんなの熱意により創られます。竣工後は、住まい手自身により時間をかけて益々磨き上げられます。

�A 住まいに求められる基本を大切にします

●ともすると物質的な豊かさや便利さ、効率性が優先されがちな住まいづくりに、時の趨勢にも変化しないものをもち続けることが大切です。風土や暮らしの中から生じた様式は、心地よい調和と使いこなされ古びた美しさを感じさせてくれます。つまり、古くからの生活の知恵や工夫の蓄積を生かしながら、新しい技術と感性で住まいを創ることが求められます。
●私たちは、住まいの基本的な性能として、強いこと、安心できること、居心地の良いことを重視し、ゆとり、なごみ、くつろぎ、ぬくもりなどを大切にしています。

�B 自然を取り込む住まいを深めています

●わが国は、古来より「夏を旨」とする通風を重んじた住まいがつくられてきました。しかし最近は、エアコンなど人工環境での生活様式の定着で建物の高気密・高断熱化が格段に進み、屋内外が遮断された住宅になりつつあります。
●その一方、本来の住まいに立ち返り、緑や風、光、音など、自然を取り込んで人間も自然という生命体の一部であることを実感できることも大切です。住まいの人工化と本物志向・自然志向とが並存し、季節感のある空地をもった「自然を取り込む住まい」を志向しています。

�C 簡素で個性的な美しさを追究しています

●打ち合わせの積み重ねとともに設計を推敲し洗練させることは、無駄なものを削ぎ落としていく作業です。暮らしのセンスは住まい手自身がつくり、住まいのセンスは建築家がお手伝いすることで、住まいが時間をかけて磨き上げられます。
●無駄を省き、考え抜かれ、その結果、簡素でさりげなく洗練された美しさは、上品で個性的な空間を創ります。愛着をもたれ、何度も改修されながらも棲み継がれる建築を追究しています。これは更にまちの景観に潤いを与えるとともに、コストダウンにもなります。